前回は「地震対策って、耐震だけじゃダメなの?」というところで終わりました。
はい。実は…そもそも「耐震」というのが良く分かっていません。
そうでしたか。ですよね。では、耐震の基本的な考え方というのをお話しますね。
お願いします!
「耐震とは」という定義の話です。簡単に言うと、震度6強から7程度の地震に対して倒壊・崩壊しないこと、かつ震度5強程度の地震に対して損傷しないこと。これを満たした建物が耐震等級1ですよということを言ってます。
へ~。そうなんですね。知らなかった。
この耐震等級1は必ずどの家でもやらなきゃいけないんですけども、この耐震等級1の「壁量」、壁量とは壁を厚くしたり筋交いの本数や壁の枚数を増やしたりすることで家をより頑丈にしていく、その壁量を1.25倍になると等級2、1.5倍になると等級3ということが言われています。
等級が上がれば上がるほど地震に強くて堅い家ということがいえるんですよ、というお話をまず前提としてお話させていただいています。
耐震等級っていう言葉は聞いたことありました。
え、待ってください。じゃあやっぱり「家の地震対策」って「耐震」だけで十分じゃないんですか?
そうなんです。そこがポイントで、実は「耐震」だけでは防げないことがあるんです。後でお話しますが、耐震では防げないポイントというのが3つあります。
結論、これらを補うのが「制振装置」という話に続くわけなんですが。
なるほど。しかし「耐震」だけでは防げないとは…
それではちょっとその根拠となった実験動画をご覧いただきますね。
国が行った実験で「長期優良住宅ってこんなに強いんだよ」というのを証明するために行った大規模実験です。両方とも耐震等級2~3の間くらいの壁量で、右の建物が長期優良住宅、左の建物が金物等がその基準を満たしていない建物です。
おー!倒れましたね!
これ、実験としては大失敗なんです。要は右側は長期優良住宅で「こんなに強いんだよ」というのを証明するための実験のはずだったんです。
左側が倒れるはずだったので左側の建物の手前のほうに多めに養生がされてたんですよ。
で、公開実験だったので上のほうに人がたくさんいるんですが仮説が外れて実際倒れたのが右側だったので、ここでちょっとどよめきが起こってます。「あれ、これ失敗じゃないのか…?」ってことで。。
結果的に実験は大失敗だったんです。
ずいぶん大規模な失敗ですね…
要はこれ「応力集中」というものが起こっていたんですよ。これ、どういうものがというと、建物を硬く作れば作るほど揺れたときに弱いところに力が集中してそこから破壊が進むという現象なんです。
おうりょくしゅうちゅう?
一般的なもので例えるとワリバシなんかがそうで、ワリバシって力を入れると弱い部分からパキンと割れますよね?
そうですね
堅いものほど力が加わると弱い部分に力が集中してそこから破壊が進むという現象なんですけど、それがこの建物でも起こったということです。
なるほど~
じゃあ左側の耐震としてはほぼ一緒なのに金物が弱かっただけの建物が何故倒れなかったかということなんですけど、もう一度同じ動画で見て欲しいところがあります。
揺れてる途中で左側の建物の付け根が、、浮きます!
あーほんとだ!浮きました!
これは、耐震がしっかり作られてる右側では起こってないんですよ。
このときに何が起こってたかというと、金物が左側は全部壊れていたので、左側も倒壊状態だったんですよ。根本の部分の金物です。
なので両方とも倒壊状態だったんですけど、左側はなぜ倒れなかったかというと、この金物が壊れたことによって力が分散されて、それで倒れなかったんですよ。
へぇ~!!
で、ここで言われてたのが、「あれっ?家って堅く作るだけじゃダメなんじゃないの・・?」力をいなしたり吸収したりすることが必要なんじゃないか?っていうことで、ここから「制振」というキーワードが世に出てきました。これが約10年前の出来事です。このこと自体がニュースになったぐらいなんですけど。
すごいですね。検証によって仮説が外れて、考えが進化、変化していくわけですね。
これからの消費者にとっては本当にありがたい話です。では、話を戻します。
堅くするだけの「耐震」だけでは防げないこと、という話ですね。
では結論としては①衝撃、②共振、③耐震性能の劣化というものにも備えなければなりません。いっこいっこ掘り下げていきますので、次回①衝撃から説明しますね。
はい。楽しみにしてます!